横断面
色々な形をした魚達がいますが、それぞれに意味があります。
まずは断面形状について考えてみます。
側扁と縦扁
オオクチバスやスズキ、ハタやメバルのように、ルアーフィッシングのターゲットとしては円筒形のベーシックな体型の魚のほかに、もう少し平べったい体型の魚もいますよね。
魚の体型の分類において、側扁(そくへん)と縦扁(じゅうへん)という考え方があります。
書いて字のごとく、横に扁平か、縦に扁平か、という意味です。
側扁体型の魚

作:練馬画伯
横方向から押し潰したような平べったい魚ですね。クロダイやキチヌを含むタイ科の魚はここに属しています(チニングだと〇枚って数えますもんね)。他にも数えきれないぐらい側偏体型の魚はいますが、釣りをする上で親しみのある魚でいうと、グレやメッキ、ブルーギルなんかはかなりわかりやすい側偏ですね。
例外もたくさんありますが、岩周りやサンゴ礁域、水草の茂る場所等、障害物の隙間を縫うようにスイスイと泳ぎ抜ける魚はこの傾向が強いです。しかし例外として、シイラ、サワラ、マナガツオなどは外洋性なのに強い側偏体型だったりもします。タチウオなんかも側偏ですが、形態や生態は唯一無二ですね。
縦扁体型の魚

これも練馬画伯によるもの
縦方向から押し潰したような平べったい魚ですね。コチの仲間やアンコウの仲間、エイの仲間がわかりやすいですね。こちらはかなり多くの割合で、海底に張り付くような生態を取っていることが多いです。
※ヒラメ・カレイ・ウシノシタの仲間は…
意外にも、彼らは側扁の魚に分類されています。しかし両目が右側、あるいは左側のみに集中しているという特徴があります(生まれたての時は普通の魚のように両サイドに目がついているのですが、稚仔魚期に片目がおでこの上を移動して片側に寄ります)。要は常に横倒しの状態ということですね。まとめて「異体類(いたいるい)」と呼びます。
しかし生態はほぼほぼ縦扁の魚に近しく、見て明らかな通り、海底に張り付くタイプですね。
それ以外にも、
外洋を泳ぎ回るマグロやカツオの仲間、カジキの仲間なんかは非常にわかりやすいですが、超高速で巡行する魚は断面が綺麗な円形をしています。彼らは障害物の隙間をすり抜けるわけでもなく、海底に張り付いているわけでもないですよね。だだっ広い大海原を泳ぎ回る上で、水の抵抗の少なさを極めすぎるとここに行き着くようです。
あらためてチヌを見ると
少なくとも、外洋を高速で巡行したり、常に海底に密着して暮らす設計ではなさそうです。起伏のある地形でウロウロする生態であることが推測できます。
胸鰭について
クロダイやキチヌを含むタイ科の仲間は、他の魚と比較するとかなり胸鰭が長い事が特徴としてあります。この胸鰭の使い方については、水族館のマダイや釣り場での見えチヌをしばらく見ていればすぐにわかります。例えば、サバなんかと比べるとこんな感じです。

頭の位置の微調整に長けている
胸鰭の可動域は非常に広く、前方に曲げ伸ばすことさえ出来ます。胸鰭を細やかに動かして、頭の位置を微調整することに長けています。これは、高速で泳ぎ回るものを捕まえる生態ではなく、基本的に岩や砂地、コンクリート等…基質に張り付いていてさほどスピーディには動かない獲物を捕食する生態であることを示しています。
以前の記事で、イナッコやカタクチイワシは本来の生態からはズレている「棚ぼたベイト」であることを書いています↑
他にも同じように、基質の餌をついばんで食べるフグやカワハギの仲間なんかはより自身の姿勢の微調整に長けており、胸鰭も含め、背鰭や尻鰭も駆使して細やかに転回することが出来ます↓
尾鰭について
魚の尾鰭も、種類によって色々な形をしています。
一般的に「魚のしっぽ」としてイメージされる二又の形状は、「二叉(にさ)型」と呼ばれています。
外洋性の高速で巡行する魚ほど、三日月形のシャープな二叉型の尾鰭になる傾向があります。

↑マグロなんかは綺麗な三日月のような二叉型ですね。
逆に、普段は岩礁等で停止しており、獲物を見つけるとスタートダッシュを切ってロケット加速するような生態の魚は、円形のうちわ型の尾鰭を持つものが多い傾向にあります。

ロックフィッシュに含まれるハタやカサゴ、アイナメの仲間なんかはまさにですね。
そして、その中間に属するような、どっちつかずの丸みをやや帯びた三角形であれば、どっちつかずの生態をしている事がわかります。スズキやチヌはここですね。

青物ほど高速で泳ぎ続ける訳ではないが、ロックフィッシュほど定位がメインな訳でもない…といった生態が伺えます。
顎について
顎の構造については、こちらの記事↓で以前に詳しくまとめてあるので、この記事では割愛します。チヌが強力な顎を持っていることは、周知のとおりかと思います。
目について
陸上の哺乳類を見ると、肉食性のライオンやオオカミ等は目が正面寄りに、シマウマやシカ等の草食動物は側面寄りについていることがわかります。これは、前者が獲物を捕らえる時の前後の距離感(対象を両目で見ることによってより正確に測れます)を重要視しているのに対し、後者が広い視野で敵をいち早く見つけることを重要視する方針であることを示しています。

我々霊長類は、雑食性ですが前方寄りに目がついていますね。枝の先の果物に手を伸ばしたて採ったり出来るほか、人間であれば文字を読み書きするのに必要ですね。
魚はというと、ほとんどの種で草食動物のようにサイド寄りについている一方、必要に迫られて、それを前方寄りにグイっと傾けて寄り目に出来る能力を得た種類がいます。
タイ類もその一つであり、必要に応じて寄り目になって、捕食対象との距離感を正確に測ろうとします。

より前方を見ることに強く特化した魚は、フグの仲間なんかがわかりやすいですね。
餌を食べるときなんかはとんでもなく寄り目になります。
また、人間では考えられませんが、水槽の中のヤッコの仲間(南方のサンゴ礁域に多く生息する鮮やかな魚です。側扁体型で、岩の表面の無脊椎動物をついばむようにして食べます)なんかを観察していると。こんな目つきをしている事があります。

イっちゃってます。
普段はさほど両目でものを見ることを重視しておらず、左右の目を独立させて色々な情報を仕入れている事がわかります。

サバの仲間なんかを見ると、目の周囲に透明の脂瞼(しけん)という組織が備わっています(網掛けで示した部分ですね)。役割はよくわかっていないのですが、眼球周りの凹凸を埋めて滑らかにし、水の抵抗を抑えるためでしょうか?
目の周囲にくぼみを設けて、寄り目になった時の前方の視野を確保しつつ、輪郭は平滑にして水の抵抗を低減しているかのような組織が見受けられます。
やはり、魚はそれぞれの形に意味がある
魚屋さんで普段はあまり見ない魚を観察して、形態から生態を予測するのも面白いです。






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