テナガエビ類・スジエビ類の特徴について、飼育・採集・釣りの三つの視点で考える

とにかく川で獲りまくっていた青春時代

私は小学校低学年時に、クラスの「いきものがかり」を担当しており、豊かな水辺に囲まれた群馬県で、同級生達と一緒に近辺の生物(昆虫からエビ・カニまで様々でした)を捕獲して持ち帰り、教室に置かれたプラケースで飼育させて貰っていました。

そのときに、どうしてもエビ類だけが上手く飼えず、何度獲ってきてもすぐに死んでしまい、病んで「いきものがかりを辞めたい」と本気で担任の先生に切り出したという逸話を持っています(先生には爆笑されました笑)。

その後の学生時代も、私は飼育に比べてさほど釣りそのものに熱中しておらず、どちらかといえば釣りを「手網(ガサガサ)でどうしても獲れない俊敏な魚を獲るための手段」として位置付けていました。

一方、肉食性の魚類を飼育する上で「活き餌が必要な状況」がよくありました。活き餌としてのスジエビは熱帯魚店でも買えるのですが、近くの川で網でガサガサやれば、ほぼほぼ無限に近しい量をタダで獲れます。学生のフトコロ事情を考えると、これには頼らざるを得ませんでした。

そんな経験も含めて、チニングのメインフィールドである汽水域において優占種となっているテナガエビ類・スジエビ類について、飼育・採集・釣りの三つの視点から考えてみたいと思います。

飼育すると気付く事

まず、飼育してすぐに気付くことがあります。それは、魚類と比べて、とにかく水質の変化に弱いということです。

知識に乏しい子供の雑な水替えによって、水質・水温の急変で秒殺してしまうことがあります。仮にすぐ死ななくても、数日不活発になった末に死んでしまうこともよくあります。

これは、水温の面においては「ヘモグロビン(鉄系)ではなくヘモシアニン(銅系)で酸素運搬を行っている」事が原因としてあります。
水質の面では「魚類のような高度な肝臓や腎臓(要は解毒システムですね)を持たない」事が原因として大きいです。

人間の血は赤いですよね。生物全般で見た場合に高度な進化を遂げている脊椎動物のほか、無脊椎動物の中でも例外的に、ミミズやゴカイの仲間、一部の二枚貝(アカガイなんかは、ヘモグロビンではないけど鉄系の類似物質を使っているので赤いですね)なんかもヘモグロビンを使っています。

ヘモグロビンは非常に酸素の運搬効率が良いのですが、一方で原始的な無脊椎動物、本記事で紹介するエビ類はもちろん、イカ・タコや貝類等、こうした生物はそうでない物質を酸素の運搬に用いている事が多いです。
土中や砂中のような極端に酸素を手に入れにくい場所で暮らす下等生物は、必要に迫られてヘモグロビンを手にしたんですかね?不思議です。

エビ類は「ヘモシアニン」という銅系の物質を使っており、いうなればヘモグロビンの下位互換的なものを使っており、酸素の運搬効率が悪いです。

それによって常にギリギリの酸素運搬をしているため、水中の溶存酸素量が減る高水温下では極端に弱ってしまいます。飼育の感覚で言うと、水温28℃を超えるとほぼヤバい雰囲気になり、30℃ともなれば死んでしまいますね。

真夏に高水温に晒されたエビは、まるでお洒落なサラダに乗っているボイルエビかの如く、鮮やかな朱色になって死んでしまいます。

また、脊椎動物の肝臓や腎臓といった「解毒」システムは非常に高度で洗練されており、さまざまな有害物質を分解出来る一方、エビ類はそうしたものを持っておらず、汚染に滅法弱い(特にケミカルな汚染、塩素や重金属には弱いですね)です。

魚が病気になった時に魚病薬を水槽の水に溶かすと、魚類はこれらの影響を肝臓と腎臓で乗り越えられる一方、エビが同居していると死んでしまいます。水草についている微量の農薬でもエビだけ死んだりします。

カルキ抜きを若干サボっても似たような事が起きますね。

採集すると気付く事

チニングのポイントなんかで時折水辺を覗き込むと、スジエビ類・テナガエビ類が目に入ることが良くあります。これらの資源量は圧倒的ですが、これらを網で捕まえるとなると、ある事に気付かされます。

思いのほか速ぇ

テナガエビの大型個体でも十分俊敏なのですが、特に幼い個体や元々小型のスジエビ等は極めて俊敏で、「ピンッピンッ」っと小さなテレポートをするかの如く素早く逃げます。

一方で、この跳躍には強烈な疲労を伴うのでしょうか?しつこく同じ個体を時間をかけて追い回すと、突如諦めたかのように網の中に入る事を受け入れてしまう事が多いです。

人間はチヌと違って手と脚を両方使える他、プラスアルファで網も使えます。

人間の頭では「必ず後ろに逃げる」事を理解できますが、魚の脳みそではどうでしょうか…

人間目線からすると捕獲に難しさを感じる事はさほどありませんが、もしこれを「手づかみで捕まえてくれ」と言われたら、滅茶苦茶に大変だと思います。しかしチヌ達からしたらこれとほぼ同じ状況なので、どことなく「捕まえるのに必要なカロリーに対して、得られるカロリーが小さい」ような気がしなくもありません。

こうした事を考えると、岩の隙間がすぐ近くにあったり、複雑なアシ原にくっついていたりすると、居たとしても捕食に乗り出すのが若干億劫な獲物なんじゃないかなと思います。

しかし、足場の整備されたようなフラットなコンクリート地帯などであれば逃げ込む場所が無く、捕獲は極めて簡単です。追い回してもどこかに身を隠せる訳では無いので、いずれ先述のような諦めモードを見せます。

また、一度ボトムから離れすぎてしまったエビは、ボトムに再度張り付かないように下から追い回せば、いずれ中層で疲れ切ってしまいます。

これはチヌ視点でも同じ気がします。要は、すぐに物陰に逃げられてしまいそうな場所に居る場合は端から諦めて「風景の一部」としか捉えていない一方で、丸腰でフラットな場所にいれば「大チャンス」とばかりにすっ飛んでくる印象です。壁やボトムから離れすぎた何もない場所にフラッとフォールさせてもすっ飛んでくる印象があります。

釣り視点で考えると

※私はテナガエビ釣りの経験がありません。あくまでもチニングをする上で、ベイトとしてエビ達を見てみます。

なんか、バックで逃げる事ばかりに注目されすぎてる気が

エビやザリガニを模したバス・チヌワームは沢山ありますが、それらのプロモーションでは必ず「水を蹴って後ろ向きに逃げる動作」を強調している印象です。

しかし実際、テナガエビの平常時は「前進」がデフォルトです。特にハサミ脚の大きいオスのテナガエビは水上からでも非常に解り易いですいが、コの字状に腕を広げた姿勢で前に歩きます。

後ろ向きに高速で逃げる時はつまり「エビ自身が襲われている事を明らかに感知しており、緊急事態モードに入っている」という事であり、リラックス時を急襲出来ている訳では無い気がします。

リラックス時とバック逃避時のどちらの方がチヌの食欲を掻き立てるのかは解りませんが、あくまでもリラックスして前進しているモードもイメージの一つとしてあった方が良い気がしました。

ベイトとしてではなく、水質の把握にめちゃくちゃ有効だと思う

水質の部分で述べたように、エビは有害な物質でコロッと死んでしまいます。

例えば、大雨の後、東京湾の河川では塩素交じりの汚水が大量に放出される事があります。

ここでも触れています。

例えば、いつも外さない良いポイントなのに今日はチヌの反応が全然無い、あるいは、いつも見えチヌが良くいる場所なのに今日は全然居ない、といった場合(普段からエビがいないのであれば微妙ですが)、エビが足元にいっぱい居れば、少なくとも塩素や貧酸素(≒超高水温)の問題はクリアしており、それらが原因ではない事が予測できます。

これらがボラやハゼ、ウグイの仲間なんかだと、彼らはそうした部分にもかなりの耐性があるので、水が悪いのかどうか確証が持てないのですが、エビ類はそこら辺に極端に弱いので、水質の指標としてとても信ぴょう性が持てます。

実際、ついこの間の千葉近辺で起きた災害級の大雨の後、近辺の主要なチニングポイントでは極端にチヌの魚影が薄くなってしまいました。しかし数日経ち、エビ類が再び見えるようになった事で、「水の問題はクリアしており、時間と距離的な部分でチヌの戻りが追い付いていない」事が予測できます。

かなり釣果を得る上でここら辺はお世話になっている地域なので、これは相当痛いです。

以上です

チヌ以外の汽水域の生き物達も、深堀りすると結構面白かったりします。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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