「能力主義」、という概念があります。その反対の概念としては、「偶然性と環境ポテンシャル」といったようなものがあります。
能力主義とは
平たく言えば、「成功する人は、努力と才能によってその地位を勝ち取っている」という考え方です。この考え方はアメリカが昔から最先端を突っ走っており、アメリカに敗戦した日本や、韓国や中国などの東アジア諸国もこの考え方が浸透しています。そうした国の特徴として、学歴社会が浸透している社会構造をしています。特にアメリカはこの考え方の最先端の国なので、「成功していない者」への援助が非常に薄いです。福祉や医療費の面で、弱者に手を差し伸べない傾向なんかに、その思想を強く感じます。
アメリカのホームレス問題とか深刻ですよね。これも能力主義の最先端である現れだと言われていますね。
私は昔バスケをほんの少しかじっていたので、NBAのスーパープレイ集なんかを今もたまに見たりしていますが、NBAの世界観(コービー=ブライアントの、「毎朝四時五時に起きて誰よりも練習したぜ」みたいな価値観)はまさに能力主義そのものだと思います。
偶然性と環境ポテンシャルとは
能力主義の真逆の考え方です。成功はその人の運と環境によるものという考え方です。中東諸国、ヨーロッパ諸国、特に北欧諸国なんかは顕著です。税金は高いですが、福祉や医療は基本的にそのおかげで無料であり、社会全体で弱者を支える考え方が生き渡っています。北欧で「ヤンテの掟」という考え方があり、「自分が他人より優れていると思いあがってはいけない」という、他人を上回るためにしのぎを削るアメリカや日本、韓国などとは真逆の行動規範があります。
中東諸国なんかも似た考え方があり、アメリカとの衝突が多いですが、こうした「物事の考え方」が根底から違ったりします。
2020年以降、急速に失脚した能力主義
この記事は2026年に書いていますが、現在、能力主義は非科学的な考え方と捉えられています。
というのも、2020年に、政治哲学者であるマイケル=サンデル氏が書いた「実力も運のうち ~能力主義は正義か?~」という著書が世界的大ヒットを記録し、「冷静に考えれば能力主義っておかしいよね」といった事が、6年の月日を経てかなり浸透してきているという状態です。しかし、、、
日本では
日本には古くから、学生の本分として「勉強」「部活動」といったものがあり、はっきり言って、能力主義が大大大前提の状態です。よほど政治哲学・マクロ社会学なんかに興味が無い限り、この考え方の枠内で一生を終えるのが極めて一般的かと思います。そもそも、疑われることのない常識です。
マイケル=サンデルなんて未だに全然誰も知らないよね。
少年漫画なんかも、ほとんどのものが間違いなく能力主義の極みみたいなストーリーだと思います。


日本のルアーフィッシング界隈において
そんな日本でルアーフィッシングを長年続けるとどうなるのでしょうか。バストーナメントなんかの文化はアメリカが大元にあり、バスフィッシングの影響を色濃く受けている現在のソルトルアーフィッシングにおいてもそうなのですが、能力主義の考え方は大前提してあるかと思います。
日本での教育文化×ルアーフィッシングとなると、やはりエキスパートの世界になるほど、能力主義を根幹に生きている人が多いんじゃないかと思いますね。
チニングにはチヌハラなんて言葉もありますが、やっぱ極めてると思います(笑)
釣りにおける「偶然性と環境的ポテンシャル」
努力、才能、知性等のセンスは、本人の手柄ではなく、両親の遺伝子による恩恵であり、また、たまたまその能力を高く評価してくれる時代背景や社会背景に生まれる事により、一部「成功者」が生まれる…
という考え方が、最も科学的で合理的。
というのが2026年現在のメインストリームなのですが、これまでひたむきにルアーフィッシングに打ち込んできた人ほど、
こういう事を言うとブチギレます。
釣りにおいては
日本には47都道府県があります。例えばチニングだけに絞っても、それだけの地域バリエーションがあり、環境は多種多様です。東京湾に絞ったとしても、最寄りが荒川流域の人、旧江戸川流域の人、隅田川の人…と、状況が違います。
ヒトのところでいえば、五体満足の人、そうでない人、体力がある人、ない人、色々います。夜勤の人も日勤の人も、平日休みの人も土日休みの人も、そうでない勤務形態の人もいるでしょう。
仮に全て条件を整えたとしても、人には運が良い、悪い、といったことがあります。日本の一億二千万人に三回サイコロを振ってもらって、目の数の合計が多い人ほど優秀とした場合、三回6が出る超ラッキーな人も、三回1が出る超アンラッキーな人もいます。本人の実力とは別問題だったりします。
しかし、人と人を比較する上で、そんな細かい差分は気にしてられませんから、一括で同じスタートラインとして扱わざるを得ないんだと思います。
結局のところ
少なくとも、人並みより良い釣果を出せたとしても、
・両親の遺伝子と養育に感謝
・釣り場のポテンシャルに感謝
・その時その瞬間にチャンスが回ってきた運に感謝
・評価される時流に立てた事に感謝
・釣りが出来る程度には健康が保てている事に感謝
現在であればこうした態度が科学的でスジかなと思います。
「俺は誰よりも努力した/工夫した/考えた」と言うエキスパートはたくさんいますが、ちょっと前時代的な考え方かなと思います。もう少し謙虚で、環境や運、周囲の方への感謝があってもいいんじゃないかと思いました。
4歳時の私にこの図鑑をくれた親戚のおばさんには、感謝してもしきれません。その後の私の人生を決定づけました。

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