プラス領域のチニングとマイナス領域のチニング

釣り哲学・美学

意味不明なタイトルですが、今回はいつもと違うスタイルの記事になるかもしれません

プラスの領域とマイナスの領域

私がチニングを始めてさほど年数が経っていない頃は考えもしなかった概念なのですが、現在の私の解釈として、以下のようなものがあります。

いたってシンプルで、動かしまくるスタイルほど100方向に位置付け、動かさないスタイルほど-100方向に位置付ける概念です。キモは、0~100の範囲だけではなく、0より下側の範囲があるという考え方です。

現在のルアーフィッシングシーンで支配的な『プラスの領域』

チニングにおいてはもちろんですが、他のソルトルアーフィッシング全般にも言える事だと思います。基本的には、「どのようにルアーを動かすか」「どのようなロッド操作をするか」「どのような巻き方をするか」といったような議題に代表されるように、上達へのアドバイスとして発信されているルアーフィッシングのノウハウは、上の図で図示したうち、プラスの領域に収まるものが9割を超える(体感値です)んじゃないかなと思います。これこそ多くの人がイメージする『テクニック』であり、仮に、普段釣りをしない人に「ルアーフィッシングが上手い人」を思い描いてもらっても、その姿はプラスの領域に収まるスタイルをしているのではないかと思います。マイナスの領域であれば、「いかにラインを動かさないか」「いかに静かにリグを滑らせるか」「いかにロッドを動かさないか」といった議題になるかと思いますが、やはり少ないですよね。

何より華が無いよねw

しかし、サイトでのクロダイ釣りをやり込みまくった結果

誤解を生まないように、「クロダイ(≠キビレ)」と表現しました。

クロダイと他のタイ科の魚類の違いについてはこちら↓

サイトでクロダイを狙いまくると解るのですが、やはりクロダイを狙うサイトチニングにおいては、『マイナス領域の釣りを如何に考えるか』が非常に重要であり、この領域について深く考えざるを得ません。そして、マイナス領域を如何に洗練させるかについての情報発信は、2026年現在でも未だに少ないと感じています。

テクニックとセッティング

ルアーフィッシングにおいて、この二つの要素はどちらも極めて重要です。当たり前過ぎて、解りきった事と思われてしまうかもしれません。

チニングにおいては、強いて言えば、プラスの領域の釣りは「テクニック」、いわゆる「腕」に焦点を当てられる傾向が強いと思っています。それもそのはずで、ここでいう「腕」が良ければ、大抵釣果に強く結びつくからです。その中でも、より具体的に言えば「操作」の部分が大きいウェイトを占めると思います。そして、現在のチニングシーンではこの領域での考え方が非常に支配的だと思っています。

一方、マイナスの領域の釣りではどうなるかというと、考え方としては真逆です。操作に着目すると、非常にオートマティックでシンプルな「ただ引きずるだけ」「ただ巻くだけ」「ただチヌの目の前を通すだけ」といった方向性にまとまって行きます。はっきり言って、高等技術を想起させるようなものでは無く、見応えの無いものだと思います(もちろん、ズル引きやタダ巻きの世界も非常に奥深いものがあり、果てしない鍛錬の末に技術が向上していくものであることも承知しています)。プラスの領域では、釣果は「個々人の腕」に依存するものになるのに対し、マイナスの領域では「誰がやっても同じ結果を出せる」簡単なものになるような、真逆の方向に落ち着いていきます。

極論ですが、例えば「体調が悪く、釣りのパフォーマンスが落ちている時でも、体調が良い時と遜色無い結果を出せる」、あるいは「近くで見ていた小学生にロッドを持たせてあげて、口頭のアドバイスだけで釣らせてあげる」、事が出来るみたいなイメージです。

その際、テクニックよりも遥かに重要な要素が「セッティング」です。セッティングを如何に煮詰めて洗練してあるかが、釣果の明暗を握ってきます。より厳密に言えば「トータルバランス」の洗練であり、ライン一つを取っても、号数、比重、伸び率、ロッド一つを取っても、レングス、テーパー、硬さ、ガイドセッティング…等々、色々ありますよね。リールやシンカー、フック、ワームの事まで考えると、その組み合わせの数は膨大であり、トータルバランスの採点項目はとてつもなく多いです。

つまりは現場での「腕」ではなく、釣具屋さんでの「チョイス」であったり、自宅での「下準備」みたいな部分ですね。

サイトでは、逃げて行ってしまう魚やリグの動いている様子がしっかり目に入る分、例えば、フロロリーダーのチョイスでは1.2号と1.5号でしっかり差を感じたり、リグのウェイト調整では、極小の「0.15g」「0.2g」「0.25g」のネイルシンカーの細やかな違いを肉眼で実感出来たり、煮詰めると非常に繊細なものになっていきます。

少なくとも私一個人の感想としては、私自身のチニングへの入り、ルーツである「フリーリグの釣り」だけを未だに一本で続けていたとしたら、ここまで考える事は絶対に出来ませんでしたし、先述の通り、そもそもマイナス領域の重要性についても解らなかったと思います。

ここでも誤解を産まないように強調しておくと、プラスの領域の釣りでもセッティングは重要であり、マイナスの領域の釣りでもテクニックは重要です。もちろん重々承知しています。ベクトルが違う、という話です。

多分、プラス領域をとことんやり込んだ人からすると…

「腕」をひたすら追求された方からすると、マイナス領域の釣りは、操作がシンプルで簡単で地味…そもそもそういうもの…という事で、非常に退屈でシケたものを感じるのではないかと思います。一方で、セッティングやアイテムのチョイスを考えこむのが好きなオタク気質の人であれば、マイナス領域の釣りはドハマりすると思います。

私がジグヘッドリグを偏愛する理由

ことクロダイを狙ったサイトチニングにおいて、私はジグヘッドリグをメインで使っています。

結局のところ、ジグヘッドこそがワームの釣りにおいて最もシンプルな形をしていると感じているからです。

クロダイって、そういう意味ではルアーのターゲットとして特異的だと

私は、ソルトルアーフィッシングにおいて、チヌ以外の魚種はかじった程度ですが、やはり、ここまでマイナス領域に踏み込まざるを得ないターゲットを他に知りません。

エリアトラウト(の中でも、ミノーイングのような、プラス領域の典型例のような豪快な釣り)がメインの友人をサイトチニングに連れて行った時の後日談

わろた

魅力的な矛盾

私がなぜここまでサイトのクロダイ釣りにのめり込んでいるかというと、ルアーフィッシングである以上ルアーを動かさなければいけないにも関わらず、ロッドやラインなど、他の部分においては「動かさない」方向に寄せていかなければならない点が魅力的だからです。ルアーには最大限動いてもらって、それ以外の部分は動かしてはいけない…という、二律背反の事が求められます。あの手この手でこの矛盾をクリアしなければなりません。それに日々頭を悩ませる過程が、最高に楽しいんです。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

コメント