では、具体的に、高活性個体はどこにいるのか、という話なんですが…
※盛夏の場合、河川内での溶存酸素の量も大きく関係してくると思いますが、かなり不確かな部分が多いので触れません。ご了承ください。
大型個体と小型個体は、移動パターンがまるで違う
私は神奈川方面の東京湾西岸から、千葉方面の東京湾東岸まで、幅広く色々なポイントに行きます(海なし県在住ですので、ホームポイントが無いのです涙)。
そのうえで、多くのポイントを見て回った上での総合的な印象として、大型個体と小型個体の移動パターンを書いてみます。
大型個体の移動パターン
小規模河川の場合:
小規模河川であれば、水温が最低限ある時期であれば、物理的な障壁(浅すぎてこれ以上入れない、水門がある、堰がある、等)に阻まれるまで登り続け、驚異的なレベルの上流にも姿を現します。イメージとしては、大体4月頃に狙って釣れるレベルの母数が揃いはじめ、12月頃にほぼほぼ降りてしまうようなイメージです。大抵の場合、高水温期は下流から上流まで高密度で入っている事が多く、まさにハイシーズンといった様相である事が多いです。
厳冬期の場合、小規模河川の魚のストック量の減少は著しいものがあり、(もちろん一匹もいない訳ではないですが)夏季の状況をイメージして行くともぬけの殻であることがほとんどです。
河川に入る大型個体は、主に、以下の二つのグループに分けられると私は考えています。
①冬季に海に降り、黒潮の当たる磯場に行くグループ
②河川に残りがちで、真冬でも中~上流に姿を現すグループ
です。
存在比のイメージとしては①が95%、②が5%、といった具合です。
①は当然、冬季は河川内で狙えないのですが、②は、12月頃や3月頃であれば、少数ながら河川内に存在します(1~2月はさすがに厳しすぎるのか、小規模河川では居なくなってしまいますけどね)。②のグループは、冬季は水温による障壁(一見景色に変わりがないような場所でも、彼らなりの何かしらの壁があると思われます)の直下に数匹~十数匹たむろしている事があります。
②の個体数のボリュームの濃淡のイメージを図にすると、このようになります。

勝手にエノキ理論と呼んでます笑 エノキタケっぽくないですか?
この場合、低水温期に、障壁の少し下の上限区域でたむろしている②のグループ(エノキの頭の部分)はなぜか食い気を保っていることが多く、冬季に見合わない中~上流のポイントで美味しい思いをすることがあります。
①の海に降るグループは、厳冬期の東京湾の場合どこにいるかというと、三浦半島の先端の方の磯場や、館山方面の磯場のような、黒潮がしっかり当たる海水域ですね。ここら辺の船宿から舟釣りを楽しむ友人が、船着き場に大量にひしめく①の大型個体の写真を見せてくれたり、実際にアマダイの外道で、水深30mほどの地点でクロダイを釣りまくっていたりします。それらの個体はまさに、『夏に河川で見た大型個体』と同じ顔つきと体格をしています。
大規模河川の場合:
中~大規模河川の場合も、エノキ理論は健在です。しかし規模感がとんでもなく大きなものとなり、例えば荒川流域であれば、冬季でも埼玉県内に②の個体達がいることもあります。小規模河川との違いとして、1~2月でも②のエノキのヘッドの個体たちは降りずに残り続け、ガッツのある生活をしている印象があります。おそらく小規模河川と比べて、感潮域に上げ潮で入ってくる暖かい海水の体積が桁違いに大きいことから、その少し上でも水温に安定性があるのだと思われますが…詳しい事はわからないです。
シーバスアングラーが、荒川流域のとんでもない上流で、2月にメタルバイブで複数の良型チヌの釣果を出しているのを見たことがあります。これは冬季の上流のエノキのヘッドの前に立ち、②の個体にエンカウントしたものだと私は解釈しています。
中~小型個体の移動パターン
中~小型個体は、潮位の干満に素直な移動をしている印象が強く、大型個体にありがちな「なぜこんな所に?」といった出現パターンがあまりない印象が強いです。
高水温期であれば上限がより川の上流側に広がり、低水温期であれば海側に下がってくるイメージです。

小規模河川の場合:厳冬期の小規模河川では、このサイズ感の個体たちは、中~上流からは抜けていることがほとんどではないでしょうか。少なくとも、神奈川~東京~千葉を見ていると、そう感じます。夏はわんさかいます。
大規模河川の場合:登り過ぎなければ、冬でも大規模河川の下流には全然居る印象です。やはり母数を考えると、冬季の河川チニングは、ある程度規模感のあるポイントでこのグループを狙わないと結果が出しにくい気がします。先述の『上流にごく少数残る大型個体』は、単体で見れば釣りやすいものの、数が極めて少なく、ピンポイントでしかいないので、通いこんだポイントでないと、そもそも見つけるのが大変過ぎて色々難しい気がします。サイトならカンニング出来るから良いんだけどね。
まとめ
ちょっと複雑になってしまったので、箇条書きでまとめると…
【大型個体】
・大型個体は、大部分が厳冬期に海に降ってしまうが、一部残り続ける個体がいる。
・小規模河川の場合、低水温期の中でも比較的水温が下がりきっていない時期(12月や3月)であれば、上流に大型個体が少数残っている事があり、釣りやすい個体が多い。さすがに1~2月は降ってしまう。
・大規模河川の場合、エノキの規模感がどでかくなり、とてつもない上流まで登ってくる。また、1~2月でも、降りずに残り続ける個体がいる。
【中~小型個体】
・中~小型個体の場合、干満に沿った素直な移動をしている印象が強く、エノキみたいな変な分布にならない印象。
・小規模河川の場合、冬季は中~小型個体はほぼ完全に抜ける印象。
・大規模河川の場合は、厳冬期でも下流域に中~小型個体はそれなりの数がいる。厳冬期は大型個体がほぼほぼ純海水域に出てしまうことにより、相対的に下流域は中~小型個体の割合が増える。
前回の記事と繋げると
少なくともクロダイの場合、夏に比べて冬ってめちゃ難しいですよね。
微妙なサイズが一番釣りにくいという話を前回したのですが、少なくとも東京湾の場合、夏季のイージーな個体は冬に大きく減り、今まで許されていた(アングラーの)粗雑な部分の許容幅が狭まることによって、釣りにくくなると考えています。
もちろん、魚は変温動物なので、そもそも冬季に捕食行動が消極的になる、体が動かない、などといった理由もあるでしょうが、そもそも、相手にするクロダイのタイプが全く違うというイメージを持っています。
大型個体と中~小型個体で生活スタイルが大きく異なる理由
あくまでも私の推測でしかないのですが…
クロダイが捕食する無脊椎動物は、変温動物です。そのため、冬季は体が動きにくいです。ベイト側の立場からすれば、冬季に敵に見つかりやすいような所に露出してフラフラしていれば、いざ敵が来ても体が動かず、俊敏に逃げられないでしょう。そのため冬季は、例えばカニであれば、岩陰の狭い隙間など…、しっかりと安全が確保された場所に籠りがちになります。
クロダイ視点に我々が立てば、「夏はあんなにカニがいたのに…」といった感覚になると思います。その場合、川の中に留まるメリットは薄いです。
大型のメスは、とにかくカロリーを摂って卵子を作りまくる事が、種としての至上命題です。冬季は暖かい黒潮がしっかり当たる磯場の方が、無脊椎動物や藻類が豊富であり、捕まえやすい状況のはずです。
そのため、大型のメス個体は厳冬期に磯場に行ってしまい、相対的に、カロリーの莫大な消費を伴わない精子作り担当のサイズ感の個体達が、川の中で占める割合が多くなるのだと思います。
こうした理由で、チヌはサイズ感によって全く異なるライフサイクルを送っているものだと、現状私は考えています。
東京湾流入河川でやり込んだ末の感想です。他の地域で当てはまらない場合も大いにあると思います。「うちではこう!」といったご報告も大変参考になりますので、教えて下さると嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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