皆さんは、カニを飼ったことはありますか?私は幼いころから生き物を飼う事が好きで、魚はもちろん、甲殻類も色々と飼っていました。
中高生になっても、海パンとサンダルで川や海に突っ込み、網を振り回して生き物を捕まえては、水槽に入れて飼育しているような…そんな奴でした。しかし、釣りは大した熱量ではやっておらず、餌釣りをたま~に楽しむ程度でした。
ベンケイガニ科

汽水域に生息する代表的なカニの仲間として、『ベンケイガニ科』というグループがあります。アカテガニやクロベンケイガニ等…とにかく、チニングをしているとよく目にする、半陸生のカニ達です。
写真のカニはクロベンケイガニなのですが、当時はチニングの存在も知らず、造形とカラーリングのかっこよさに魅かれて飼っていました(あらためて冷静に見ても、紫のウデと黄色い目が超かっこいいと思う)。
当時は学生ですから、自分の部屋がいくつもある訳ではありません。必然的に、カニの飼育ケージの置き場所と寝室が同一になります。そこで気付かされた事なのですが…
カニが発する生活音は尋常ではない
とにかく…クソうるさい。彼らの生活音がガタガタゴトゴトとうるさくて、冗談抜きで飼い主の睡眠を妨げるレベルです。
ケージ内での生活ぶりを見ると、結構おっちょこちょいな側面があります。足を滑らせて、起伏を転げ落ちる様子をたまに目にします。そのときに、水に沈んで行ったりする事もあるんですが、落ち方に大きな特徴があります。
歩行脚が命取り
カニの仲間には、遊泳脚と呼ばれる、泳ぐための脚(平べったく、ヒレのようになった脚です。ガザミの後ろの方なんかはこれですね↓)と、

歩行脚(歩くための脚、普通の尖った形状の脚です)があります。四対全て遊泳脚、四対全て歩行脚、半々、一番後ろだけ遊泳脚、等々…種類によって様々なタイプがあります。
汽水域の代表種であるベンケイガニの仲間は、全て歩行脚です。
そんな彼らが水中に落っこちると何が起きるかというと…着底まで成す術なく、じたばた暴れながら落ちるしかないのです。尖った足の先端が、壁面等の何かしらの起伏を拾えば良いのですが、そうでない場合、ただただ着底を待つしかありません。
危険すぎるフォール姿勢
そして彼らが落下していく際の姿勢に特徴があります。

脚の付き方と水の受け方からして、この体勢で安定しながら落ちてしまうのです。背中を下にしながらフォールしていきます。着底すると、「やべっ」って感じで、急いで脚で起き上がり、近くの岩の隙間にサッと逃げ込みます。
…この瞬間って、すごい隙だと思いませんか?
また、カニとは別に、水槽のガラス面のコケ取り要員として、巻貝の仲間を水槽に入れることがあります。巻貝の仲間が高所から落下した際も、ちょっと似たような事が起きます。殻の頂点を下にして落下し、着底後、思い切り軟体部(我々が食べるときで云う身の部分ですね)を出して、逆さまになってしまった殻をグイッと戻して事なきを得ます。
…滅茶苦茶に隙だと思いません?
しっかり音がする
水槽内でそんな事が起きた際、水槽越しに人間がわかるくらい「コツッ」という音がすることがあります。人間が解るのですから、水中で暮らしているクロダイがそんなチャンスを見逃すでしょうか…
チニングをやり込んでいくうちに、そんな経験を思い出し、「汽水域にたくさん生息しているカニ類や貝類が、何かの拍子で足場から転げ落ちた時、その数秒の隙を逃さない為に、このフォールと着底音を捉えるような進化をしたのでは?」と考えるようになりました。
マダイはクロダイのように、河川の中上流にグングン登ってくるようなことはあまりせず、海の過ごしやすい場所で暮らして、前述の通りあらゆるものを見境なく食べているだけです。そんなマダイ視点で言えば、クロダイはかなり異常な生活スタイルです。これはどちらかといえば、ウナギのように、クロダイが隙間産業に追いやられていると考えることも出来ます。タイなのに『河川進出&半陸生のカニ狙い』に進んだキワモノといえます。この姿が私の中で、『河川進出&陸生のミミズ狙い』のニホンウナギと重なるものがありました。
(昨今では駆除される程の増加量を見せていますから、作戦としては大成功な訳です。敗者という印象は持ちにくいですが、「キワモノ作戦を取った結果、大成功した」という表現が正確でしょうか?)。
…しかし、カニや貝が「硬い基質」、岩やコンクリート等の上に落ちれば「コツッ」っと音がしますが、例えば水槽の中でも砂の部分に落ちると、「ボフッ」って感じで、あまり大きな音はしないんですよね(あくまでも人間視点のはなしではあります)。
クロダイがハードボトムに固執する理由も…
つまりは、音を拾いやすい状況にしておきたいから、食い気のあるクロダイはキビレより硬い基質に執着する傾向にあるのではないか?というのが僕の現状の考えです。水面にフワフワ浮いているようなチヌが難しい根本的な理由も、ここにある気がします。そのタイミングだけで言えば、食事を意識したモード(≒しっかり体を基質に近付けて、コツコツ系のコンタクト音を拾うモード)になってない訳です。しっかり食い気があれば、硬い基質の周囲を意識していることが多いですし、そういった見えチヌはかなりイージーです。
どちらかといえば砂っぽい所に多いキビレよりも、クロダイは硬いボトムや壁面に着きがちですよね。チニングをやり込むほど違いを感じます(あくまでも傾向であって、逆のシチュエーションが沢山あることは百も承知です)。
ネイルリグvsジグヘッドリグ
ネイルシンカーをワームに埋め込み、壁やボトムへのコンタクトを「ポヨンポヨン」の質感にすると、見えチヌの反応がイマイチで…ジグヘッドに替えて近くの個体(別の個体ではあります…)に再度アプローチし、「コツコツ」といった質感のコンタクトにすると、後者の方が激しく追ってきた経験があります。別個体なので、個体の活性が違うといえばそれまでなのですが…
ヘチの落とし込みは最適解過ぎる
カニや貝の「落下」を、視覚的にも聴覚的にも逃さないような進化を、仮にしているとすれば…そこに訴えかける釣り方にはなかなか抗えないのでは…
だからこそ、古来からある有効な釣り方として、いまだに君臨しているのではないかなと思います。
落下時に水に切り込む際の振動について
サイトチニングをする上で、嫌がられるラインの動かし方と、嫌がられないラインの動かし方(これについてはまた特集記事を書こうと思います)を大雑把にまとめると…ラインが水を切るか否かに尽きると思っています。水を切る動きはことごとく嫌がられますよね。
クロダイは、カニ・貝の着底音だけでなく、それらが落下中に発するわずかな音も拾っているのではないかと私は考えています。もし、他のタイの仲間と比べてそこを重点的に進化させたなら、見えチヌが第六感的なものでリーダーを認識して逃げる様子も、クロダイがキビレよりそこら辺に超敏感な事も、説明が付きます。水の中に物体が切り込んでいくという「音の種類・質感」としては、本質的には同じような気がします。トップウォータープラグのポップ音や水しぶきの音は、人間も水上から聴くことが出来ますが、クロダイがもし水中でこのような微細な音を感じ取っているのであれば、我々はなかなかその存在に気付けないと思います(内耳で拾っているのか側線で拾っているのかはわからないけどね…)。
割と、科学的根拠に欠ける部分が多い仮説です
どちらかといえば僕の経験の繋ぎ合わせって感じです。信じるか信じないかは貴方次第👍
最後までお読みいただきありがとうございました。



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